楽しく作る気軽さと難しさ

ご存知の方も多いと思いますが、マサラキッチンの定休日にて時々、将来カレーや開業を志すスタッフが一日店主となって違う屋号で間借り営業をしております。

それがスタッフ檜原の「ヒノキハラカリー」と、スタッフ松岡の「みわCurry」。

今日はヒノキハラカリーが昼夜営業しております。
最近は全国的に「間借りカレー」というジャンルとして認識されて、福岡市内でもいくつか間借りカレーがありますね。私も開業する前の数ヶ月間、今泉の「Cocktail bar ぐらすホッパー」さんを間借りして、いまのお店につながる貴重な時間を体験させていただきました。

そういう経緯もあって、私も彼女たちの勉強の場になればと思い、カレー屋なのにカレー屋に間貸ししてます。将来、商売敵になるかもしれないのに、狂気の沙汰だなと我ながら思います。

間貸しに関して、もちろん商品チェックは私が事前に行います。
安全性に問題がないかぎり、味付けやスパイス使い、価格や提供方法その他諸々基本的に私は口出ししません。一日店主なので自由に、思う通りにやってもらっています。

どのみち自分で開業するときにやるべきことなので、できるだけすべてのプロセスを体験して、自分なりのスタイルを築いてほしいと思っています。

カレー屋を始めるにあたって、もちろんどんなカレーを作るかというのは一番大きい問題なんですが、お店をどうやって維持していくのか、集客はどうするのか、どうやって店を作り上げていくのか、などなど、カレー以外にも考えなければならないことがてんこ盛り。

でも、この辺をクリアできないと結局生き残れない。

他にない変わったカレー、ずば抜けてセンスが尖ったカレー、流行のスタイルに寄せたカレー、表現は色々ですが、正直、そんなのどうだっていいと思っています。(暴論)

流行に乗っかってホットなうちにガバッと稼いでサッと手を引くのもアリだし、100人中3人にだけ異常に受ける表現だってアリだし、まぁ、好きにすればいい。

間借りでやる意義というのはそういう試行錯誤を比較的ローリスクでできるというところなので、それはもう自由に、なにより本人が楽しんでできれば良いのでは、と常日頃言っています。

開業を志す人で、初めてスパイスをブレンドして自作したカレーに感動して、「これ、自分で店やってみたい!」となった人は多いと思うんですが、実際に間借りでもやってみると、上に書いたようなカレーを作る意外のボリュームが結構あって、カレーも大量に同じものを作るためにレシピ化したり試作を繰り返すうちにだんだん自分が何をしたいのかわからなくなってくる。

自分の表現を身につけるためにやっていることが、いつの間にか自分を縛り、なんとなく不自由になって道を見失う。

縛りが多くなるにつれ、本来楽しくて「創造的」だったはずのカレー作りが、いつのまにか「作業」になってしまう。

商品を開発するにあたり、この「創造的」部分と「作業」のバランス配分がすごく大切だなと思います。

試行錯誤してるときは、そりゃ楽しい。無から有を作り出す行程。神の行程。狙い通りだろうが偶然の産物だろうが、仕上がったものを再現するため、数値化/言語化してレシピに落とす。その繰り返しでレパートリーが増え、自分なりの方法論もできてくる。

さらに新しいことにチャレンジしてみる。これも楽しい。ところがある程度行くと思った通りに行かなくなる。狙ったところに着地しない。それだけならまだしも、いままでできていたこともできなくなってくる。理解していたと思っていたスパイス使いができていないことに気づく。加えて、カレー作り以外の業務も結構ある。正直しんどい。なんでこんなドMな仕事を生業としようとしているんだろうかという気になってくる。

そういう茨の道の体験も織り込み済みの間借り営業。

ここを乗り越える方法はもう本人の努力次第しかないと私は思っています。

日々のしんどさの中に自分で光を生み出して照らしていくしかないのかなと。
唯一、アドバイスしているのは「楽しく、遊ぶようにおやりなさい」。

行き詰まると、もうにっちもさっちも行かなくて、こなすことでパンパンになるけれど、そんななかでできるだけ光を生み出すには「遊び」を取り入れること。なんでもいい。

子供の頃の「ごっこ遊び」のように自由に、棒切れ一本から無限の遊び方ができていた頃のように、雲の形から自由にキャラクターやストーリーが生み出せていた頃のように、自由に。

新しい発想、自由な考え方、面白い組み合わせ。

どれも固定概念にとらわれず、いろんな要素を自由に組み替えできる状態に自分を保つこと。もしくはすこしでも意識すること。

そうして生み出された「ヒノキハラカリー」や「みわCurry」のカレーたちはそれぞれどこにもない、オリジナルな、私とは全く違った角度の表現で、近い将来私の存在を脅かす存在になると思います(笑)

若い芽は早めに摘んでおかねば

福岡にカレー文化が根付くためには、いろんな表現のお店がもっとたくさんできる必要があると思っていて、カレー屋というだけで脅威と感じるレベルじゃまだまだだと思います。

ラーメン屋だってうどん屋だって、こんなに沢山あるけど成り立ってる。カレー屋もそれぐらいにならんといかんかなと思います。

・・・みたいな話を先ほど、KBC九州朝日放送「シリタカ!」の取材でお話ししました。

何やら「間借りカレー特集」らしいですよ。
私はちょろっと喋っただけなので、メインは「ヒノキハラカリー」およびその他の間借りのカレー屋さんです。ちゃっかりサインいただきましたけど。

ちなみにスタッフ檜原はいよいよ開店準備に向けて今月でマサラキッチンを卒業。

「ヒノキハラカリー」は今日で最後です。

今後はカレーユニット「Banyan」として活動するそうです。
これからは商売敵なので全力で潰したいと思います。
福岡カレー界発展のため、これからも刺激し合える関係として、将来の開業を楽しみにしてます♪

遊んで、楽しんで、そしてちょこっとだけその楽しさをお客様に伝える努力をして。頑張って☆

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